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留学について

留学記

久保直樹先生

[所属]
University of California San Diego,
Ludwig Institute for Cancer Research
[専門分野]
呼吸器内科学、臨床腫瘍学、ゲノム・エピゲノム解析

 2016年5月より米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)Ludwig癌研究所(Bing Ren教授)でpostdoctoral fellowとして研究しております。私は大学院博士課程に入る2011年当時、ポストゲノム時代の一つの大きな潮流であるエピゲノムについて強い関心があり、大学院は生体防御医学研究所のエピゲノム制御学分野(佐々木裕之教授)で研鑽を積むこと希望し、当科の中西教授にも快く送り出して頂きました。その博士課程で、基本的な実験手技だけでなく次世代シークエンサー(NGS)の様々な種類のデータ解析を学ぶ機会にも恵まれました。そして、博士取得後に自身の研究を広げたいと思った時、NGSやコンピュータの設備、人材を揃えた施設、研究室は国内では限られており、米国に比べて規模とその活用で大きく差がついていることから、留学の必要性を感じ、大学院時代から憧れでもあったBing Ren教授の研究室を志願し、現在に至ります。

 サンディエゴは、年中温暖で過ごしやすい気候と、豊かな自然に恵まれ、何よりもアメリカなのに治安が良いため、非常に働きやすい都市です。また、UCSDを含めたカリフォルニア大学群は、あらゆる分野のトップレベルの研究者が数多く集まり、コンピュータサイエンスが盛んなシリコンバレーなど、東海岸のMIT、ハーバードなどに並ぶ人材、企業、研究機関の宝庫です。サンディエゴにおいては次世代シークエンサー市場のトップを走るイルミナ本社もあります

 私が所属する研究室は20人を超えるメンバーからなる比較的大きなラボで、エピゲノム制御の基礎研究から、それに関わる疾患研究、新たなシークエンス解析法の開発など、幅広く研究を進めています。また、大量に生み出されるシークエンスデータを解析するため、半数近くがコンピュータ解析の研究者で、残り半数がピペットを握って実験をする研究者で構成されています。こちらで働き始めた当初は、慣れない異国での生活に加え、同僚たちの専門性の高さに圧倒される毎日で、自分はやっていけるのか不安だったのですが、大学院での経験に加え、ボスの的確な指導と、同僚たちのオープンで親切なサポートのおかげで、充実した研究生活を送っています。

こちらに来て感銘を受けたことは多々あるのですが、そのうちの一つが、国内外から多くの若い学部生が、自身の将来を考え、夏休み等を使って数ヶ月間、インターンシップとして当研究室に学びに来ることです。世界中の研究者と競わなければならないサイエンスの世界で、皆こんなに若い時から頑張っているのだと思うと、大学受験で一旦燃え尽きていた自分の学生時代を省みながらも、身が引き締まる思いがします。また、私も、そのやる気に満ちた学生の指導を受け持つことがあるのですが、逆に彼らから多くを学んでいる気がします。

もちろん、留学は良いことばかりでなく、仕事は基本きついですし、全く結果が出ないことが続いたり、疲れてモチベーションが落ちるような時は、日本の生活が恋しくなることもあります。ただ、ラボの環境も含めて、ここでしか得られない機会や刺激が、自分を奮い立たせてくれます。若い先生や学生の皆さん、日本もトップクラスの研究ができる国の一つですが、自分が求める環境が海外にある場合は特に、その機会を日本以外に掴みに行っても良いかもしれません。