診療グループ

喘息・COPDグループ

業 績

臨床

 気管支喘息は、気道の慢性炎症により気管支が狭くなる病気で、発作性の呼吸困難や喘鳴、胸苦しさ、咳が主な症状です。子供の病気と思われがちですが、患者全体をみると4人に3人は成人喘息です。また、喘息を含むアレルギー疾患は近年増加しています。吸入ステロイド薬をはじめとした治療の普及により、我が国の喘息による死亡者数は年間約1,000人程度にまで減少しました。しかし今なお、喘息患者さんの5~10%はしっかり治療しても十分なコントロールが得られず、重症喘息と報告されています。当科では重症喘息に対し、新規治療法である生物学的製剤(アレルギーを誘導する分子に対する抗体製剤)の投与を行っています(図1)。

<図1>

喘息の診断と治療

 慢性閉塞性肺疾患(COPD: chronic obstructive pulmonary disease)は、長期の喫煙等により中高年以降に発症する進行性の炎症性肺疾患で、慢性的な咳・痰や労作時の息切れが主な症状です。最新のWHO統計では世界の死亡原因の第4位に位置します。日本では500万人以上のCOPD患者が存在すると推定されていますが、この病気の認知度は低く、大多数が未診断・未治療の状態です。進行すれば呼吸不全に至り命に関わるため、初期の段階で診断し、禁煙や吸入薬の開始につなげることが重要です。その他の呼吸器疾患に対する新薬開発のための臨床試験(治験)にも広く携わっており、気管支拡張症に対するカテプシンC阻害薬の国際第2相試験では世界でも有数の症例登録を行いました。現在もCOPD、気管支拡張症、治らない咳(慢性咳嗽)に対する治験をはじめ、治療手段が十分にない呼吸器疾患、呼吸器症状の診療に広く取り組んでいます。

臨床研究

 重症喘息に対して標的分子の異なる複数の生物学的製剤が使用可能となりました。喘息症状がほぼ消失する患者さんがいらっしゃる一方で、個々の患者さんに対してどの生物学的製剤が最も適しているかの選択はまだ難しい場合があります。そのため当科では、新規生物学的製剤の治療効果に関する医師主導特定臨床研究を実施しています。今後も新たな臨床研究を立案し、気管支喘息、COPDをはじめとした呼吸器疾患診療のエビデンス創出に取り組み続けます。

試験名 研究代表医師・事務局
コントロール不良重症喘息患者を対象とするTezepelumabによるclinical remissionを検討する多施設共同前向き介入試験(TERESA) 研究代表医師:岡本勇
研究事務局:神尾敬子

 また、福岡県下計29施設によるネットワークで、特発性間質性肺炎、COPDの慢性呼吸器疾患 1000症例超の前向きコホート研究を行い、5年間の観察期間を終え、1秒率70%以上であったCOPD臨床診断群がCOPD I~II期(軽症~中等症COPD)群よりも予後不良であることを明らかにしました。また複数の重症度分類の特徴を報告し、各分類の使い分けにつながるエビデンスを報告しました(図2)[喫煙関連呼吸器難病に対する前向きコホート研究]。現在もCOPDの診療に直結する解析結果を論文投稿中であるほか、今後も新たな検討を行う予定です。

<図2>

肺の生活習慣病前向きコホート研究の成果(例)

基礎研究

 喘息およびCOPDの治療をより良くするには、基礎研究を通じて治療介入の糸口を見つけることが重要です。当研究室では喘息やCOPDの患者さんから気管支鏡下に採取した細胞を用いて、気道の恒常性維持のための粘液産生・分泌能や気道上皮バリア機能に関する研究を進めており、COPDの気道上皮で粘液分泌が亢進し、そのバリア機能が破綻していることを報告しました。またマウスモデルを用いて妊娠喘息が子の喘息発症につながるメカニズムの解明に取り組み、論文化しました(図3)。現在も喘息・COPDの治療標的探索に関する研究を継続しています。

<図3>

喘息・COPD研究室の研究成果(例)

呼吸器内科医を目指す先生方へ

 気管支喘息やCOPDの治療には、まだまだ残された課題が山積しています。当研究室では喘息・COPDに関する基礎研究、臨床研究および疫学研究を行っており、難治性疾患の病態解明や新規治療法の確立に取り組んでいます。そのためには、やる気あふれる先生と議論することが不可欠です!臨床でも研究でも、少しでも呼吸器領域に興味のある先生はお気軽にお問い合わせください。

喘息・COPDグループ 2025年4月 医学部百年講堂前にて