留学について
留学記
大坪孝平先生
- [所属]
- CANADA: McMaster University, Firestone Institute for Respiratory Health
- [専門分野]
- 肺癌
2022年6月よりカナダのMcMaster大学に留学しています。留学先のボスであるMartin Kolb先生は、European Respiratory Journalのchief editorもされている、呼吸器(特にびまん性肺疾患研究)の領域では世界的に有名な先生です。私は九州大学では肺癌グループに所属しておりますが、研究テーマのひとつが「特発性肺線維症合併肺癌に対する新規治療開発」だったというご縁もあり、同門の柳原先生、坪内先生の後任として留学させて頂くことになりました。
McMaster大学のあるハミルトンは、カナダのオンタリオ州西部にある人口約60万人の自然豊かな都市です。トロントとナイアガラの滝の中間に位置しており、どちらにも1時間程度で行くことができます。私の所属する研究室は本学キャンパスではなく、ダウンタウンにある附属病院(St. Joseph’s Healthcare Hamilton)の研究フロア内にあります。家から直通のバスもありますが、節約と健康のため、春から秋までは自転車で通勤しています。片道5kmほどの距離で、丁度良い運動になっています。冬はさすがに寒さが厳しく、マイナス20℃近くまで気温が下がることもあるため、安全を考慮してバスで通勤しています。
勤務時間は8時半頃から17時頃までで、比較的自由度の高い職場です。毎週のミーティングなどはないため、自分でしっかりと計画を立てながら研究を進めなければなりません。私のメインプロジェクトは肺線維症ラットモデルを用いた肺の線維化メカニズムの解明と新規治療薬の開発なのですが、こちらは動物実験を始める前に受講しなければならない講習が驚くほどたくさんあり、カナダに到着してからメインプロジェクトの実験を開始するまで3ヶ月近くかかりました。その他にも、前任の坪内先生から引き継いだ実験や、柳原先生が投稿した論文のリバイス実験なども行っています。Kolb先生は非常にご多忙な先生で頻繁にはお会いできませんが、ときどき「最近のデータを見せて」と連絡があり、資料をオフィスに持参しマンツーマンでミーティングをして頂いています。ミーティング中はいつも笑顔で穏やかに話され、「素晴らしい」「よく頑張っている」とポジティブな言葉をかけて下さるなど、部下を褒めて伸ばすタイプの先生です。また、「単なるサイエンスで完結してはダメだ。医師として、自分の研究で得られた結果がどのように臨床に還元できるかを常に考えなさい」と、physician scientistとしてのあり方についても熱く語って頂き、日々大きな刺激を頂いています。
研究が中心の生活ではありますが、夏にはナイアガラの滝やメジャーリーグ観戦(大谷翔平選手の登板試合!)にも行けましたし、冬にはNBAやアイスホッケーの試合も観ることができました。なるべく運動不足にならないよう、週に1回家の近所のバドミントンクラブにも参加しており、最近は大学生時代の得意技だったジャンプスマッシュが再び打てるようになりました。
初の海外生活で文化の違いや言葉の壁で戸惑うことも多いですが、留学しなければできなかったような貴重な経験をたくさんさせて頂いており、思い切って留学して本当によかったです。若い先生方にも、ぜひ臨床だけでなく研究にも取り組んで頂き、チャンスがあれば留学にチャレンジして頂きたいと思います。