研修・入局案内

留学について

留学記

大田恵一先生

[所属]
U.S.A.: Harvard University, Dana-Farber Cancer Institute, Medical Oncology
[専門分野]
肺癌、腫瘍免疫学
2022年9月から、私はアメリカの東海岸に位置するボストンのDana-Farber Cancer Institute(DFCI)にポスドクとして研究留学しております。DFCIは、Harvard Medical Schoolに統合されているがんセンターであり、病院と研究施設を合わせると計4棟と広大で、私が渡米した2022年は創立75周年を迎え、記念講演会や市の動物園を貸し切っての盛大な祝賀イベントなどが行われ、ちょうど参加することができました。DFCIの他にも周囲は病院や研究施設が多数隣接し、一帯はメディカルエリアと呼ばれています。私はDavid Barbie先生が主宰する腫瘍免疫学のラボに所属しており、10名程の世界各国から集まったポスドクが日々切磋琢磨しています。研究テーマはがん微小環境、特に自然免疫を扱ったものが多く、基礎研究ではありますが具体的な治療戦略や創薬まで見据えたテーマが多い印象です。他の研究室や企業との共同研究も多いため常に勉強が追いついていない状況にありますが、各々の特性を活かして、深く、また迅速に研究を推し進める体制は刺激的です。
英語力はまだまだ不十分でコミュニケーションにも大変苦労していますが、来月からは学生の指導を任されることになり、ますます頑張らねばと身の引き締まる思いです。
生活環境についてですが、ボストンはアメリカの東海岸の北側に位置しており、覚悟はしていましたが福岡と比較すると冬の寒さは大変厳しいものでした。-10℃を下回る日は湖も凍っており、寒いのを通り越して痛いという感覚が強く、凍てつく寒さというものを初めて経験しました。渡米して半年経ち、もう4月になりましたがダウンコートは未だ手放せず、夏が来るのを心待ちにしています。
留学という私の仕事の都合で家族の生活も一変させてしまい心配していましたが、皆徐々にボストンの環境に慣れてきた様子で、子供達は寒いながらも公園で元気に遊んだり、草影に現れるリスやウサギを見つけたりして楽しんでいます。先日は初めてアメリカで1番古い野球場であるフェンウェイパークでメジャーリーグを観戦し、日本人の活躍に刺激を受けました。円安や物価高の影響をまともに受け、さらに学術都市ボストンという土地柄もあり、家賃が福岡に居た時の5倍と高く、経済的には厳しいですが、アメリカの中では比較的治安のよい場所なので夜道でも危険を感じたことはなく、その点は安心して暮らせておりますし、仕事に集中出来る環境ではあります。
渡米して半年、まだまだ楽しいことよりも辛いことのほうが少しだけ多い日々ですが、自分にとっては全てが貴重な経験です。1年後には同等に、2年後には楽しさが凌駕している日々を思い描きながら引き続き精進していきます。
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