研究紹介

HOME > 研究紹介 > 臨床研究 > 【肺がん】非小細胞肺癌における個別化医療の確立を目指した、オンコマイン Dx Target Test マルチCDxシステムによる遺伝子異常検出の有用性を検討する観察研究

研究紹介

【肺がん】非小細胞肺癌における個別化医療の確立を目指した、オンコマイン Dx Target Test マルチCDxシステムによる遺伝子異常検出の有用性を検討する観察研究

臨床研究について

 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。
 その一つとして、九州大学病院呼吸器科では、オンコマイン Dx Target Test マルチCDxシステムを用いて遺伝子変異検査を行なっている患者さんを対象として「非小細胞肺癌における個別化医療の確立を目指した、オンコマイン Dx Target Test マルチCDxシステムによる遺伝子異常検出の有用性を検討する観察研究」という臨床研究を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2024年11月30日までです。

研究の対象者について

対象は以下のような方です。
・非小細胞肺がんと診断されている患者さん
・2019年6月1日から2024年11月30日の間にオンコマインDx TargetマルチCDxシステムを用いて遺伝子の検査を行っている患者さん300名(前向き30名、後向き270名を想定)。
※研究への参加を希望しない場合は、事務局まで連絡願います。

研究内容

研究の目的や意義について
<研究対象者の病状と治療について>
 これまでの検査の結果から、研究対象者の病気は、①肺がんの疑いがあること、②肺がんであること、③肺がんの再発が疑われることのいずれかであることが分かっています。
 初めて肺がんが疑われたのであれば、今後、気管支鏡検査(気管支の中に内視鏡を入れて、組織や細胞を取る検査)、針生検(からだの表面に局所麻酔をして、細い針を刺して組織や細胞を取る検査)、あるいは手術などを行い、見つかった病変が肺がんかどうか診断していく必要があります。既に肺がんと分かっているようであれば、今後予定している治療の効果を予測するために、上記のような組織や細胞をとる検査を行う場合があります。また、再発の可能性が考えられたのであれば、以前診断された肺がんの再発なのかどうか、また、今後行う予定の治療の効果を予測するために、再発を疑う病変の組織や細胞を取って確認していく場合があります。
 これらの検査で肺がんや肺がんの再発であることが分かった場合は、一般的な治療方法として、手術、薬物療法、放射線療法などがあり、研究対象者の病気の進み具合と、全身状態に応じて、これらの治療法のうち、ひとつあるいはいくつかを組み合わせて今後の治療を行っていく予定です。
 
<がん細胞の遺伝子異常について>
  「遺伝」とは、「親の体質が子に伝わること」です。「体質」には、顔かたち、体つきのほか、病気に罹りやすいことなどが含まれます。人の体の状態は、遺伝とともに、生まれ育った環境によって決まりますが、遺伝は基本的な部分で人の体の形成に重要な役割を果たしています。「遺伝」に「子」という字が付き「遺伝子」となると、「遺伝を決定する小単位」という科学的な言葉になります。ほとんど全ての生物では、遺伝子の本体は「DNA」という物質です。「DNA」は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という四つの塩基が鎖のようにつながって構成されています。DNAの中で、塩基の並び方によって遺伝情報をもつ部分を遺伝子といいます。
 一つの細胞の中には数万種類の遺伝子が存在しています。人体は約60兆個の細胞から成り立っていて、細胞の一つ一つにすべての遺伝子が含まれています。
 正常な細胞ががん細胞になるときには遺伝子にいろいろな異常が起こることが知られています。このため、がん細胞は正常細胞が持っている遺伝子とは異なる特有の遺伝子をもっています。これらのがん細胞特有の遺伝子異常のために、がん細胞は正常の細胞とは異なる性質を示すと考えられています。
 最近、がん細胞の遺伝子異常を調べることで、それぞれの患者さんに適切な治療法が選択できるようになってきました。それぞれの患者さんで異常を起こしている遺伝子は異なっており、特定の遺伝子に異常がある人とない人、あるいは遺伝子異常が多い人と少ない人では、一部の治療薬の効果が大きく異なることが明らかにされつつあります。遺伝子を検査する技術は年々進歩しており、近年では複数の遺伝子異常を同時に検査する技術が開発され、それに基づく診断薬や治療法も開発されています。
 また、がん細胞の遺伝子異常は治療に伴って変化することも知られており、治療中に新たに出現した遺伝子異常によって治療薬の効果が減弱したり、別の治療薬が効きやすくなったりします。従って、治療効果が減弱したときに、もう一度がん細胞の遺伝子異常を調べることで、次の適切な治療を選択することが可能になる場合がありますが、遺伝子を検査するために組織や細胞を繰り返し採取することは、患者さんにとって負担が大きく、また病変の部位によっては組織や細胞の採取が困難である場合もあります。そこで、近年では、血液中に流出した少量の「がん細胞由来のDNA」を調べることによって、がん細胞で起こっている遺伝子異常を検出できるようになり、患者さんにとって負担が少なく、組織や細胞の採取が困難な場合でも実施できる遺伝子検査法として注目されています。
 
<がん個別化医療について>
 がん細胞で異常を起こしている遺伝子を調べ、検出された遺伝子異常に応じて有効な薬剤を選択することにより、患者さんに最適な治療を提供する医療を個別化医療と呼びます。肺癌においては、EGFR、ALK、ROS1、BRAFといった遺伝子異常が検出されれば、これらを標的とする薬剤(分子標的薬)により、良好な治療効果が得られることが報告をされています。その他の遺伝子異常についても、現在、治療薬の開発が進んでおり、今後、さらに個別化医療が確立されていくと考えられます。
 
<オンコマインDx TargetマルチCDxシステムについて>
 肺がんでは様々な遺伝子異常が見つかっていますが、EGFR遺伝子変異、KRAS遺伝子変異、ALK融合遺伝子以外の多くのドライバー遺伝子の頻度は非常に低く、非小細胞肺がんの1%以下です。このため、これら低頻度のドライバー遺伝子が陽性の肺がんに関するまとまった報告は少数しかありません。今後は、このような希少頻度の肺がん患者さんの性別、年齢、喫煙歴など臨床背景に関する特徴や、様々な治療法による効果、予後について検討するとともに、それぞれの肺がんの組織や細胞を顕微鏡で観察し、どのような特徴を持つ肺がんなのか(これを病理学的特徴と言います)、また、その遺伝子を解析し、その他の様々な遺伝子がどのような状況になっているのかなど、その詳しい臨床的、病理学的、遺伝子学的特徴を明らかにして、その原因や有効な治療法を開発していく必要があります。
 オンコマインDx TargetマルチCDxシステムについては別紙を用いて説明を受けられたことと思いますが、薬事承認された治療薬を有する4つの遺伝子異常以外に42個の遺伝子異常の有無に関しても同時に解析が行われており、これらは研究用途を目的とした場合に限り担当医師へレポートが返却されることとなっております。治療薬が未承認である遺伝子変異であっても、頻度を把握し、その臨床的、病理学的、遺伝学的特徴を明らかにすることは、新しい診断薬や治療薬の開発を手助けとなります。
 この研究では、低頻度の遺伝子異常をもつ肺がんを見つけ出し、その正確な頻度や特徴を明らかにすることを目的としています。また、この研究で得られた遺伝子解析の結果や、遺伝子異常が陽性の肺がんの臨床的、病理学的、遺伝子学的特徴に関する情報を、診断薬及び治療薬の開発を行っている企業に提供することで、診断薬及び治療薬に関する研究を推進し、個別化医療の発展へ貢献していくことを目的としています。


研究の方法について 
 この研究は、日常臨床において施行されたオンコマインDx TargetマルチCDxシステムの検査結果を用いて行われます。従いまして研究対象者がこの研究に参加した場合にも、新たに組織、細胞を取らせて頂くことはありません。研究への不参加の希望がなかった場合には、この研究への登録を行います。登録に際しては、お名前などの個人情報を削除した形で行い、代わりに新しく登録番号がつけられ、その番号で管理および保存されます(匿名化)。研究対象者の診療情報(年齢、性別、身長、体重、喫煙歴、既往歴、合併症、服薬歴、臨床病期、腫瘍組織の組織型、臨床経過、血液検査結果、全46遺伝子に対するオンコマインDx TargetマルチCDxシステムの結果、オンコマインDx TargetマルチCDxシステムに提出した腫瘍検体の採取方法・採取量・採取日)について登録を行いますが、常に匿名化した状態で行い、研究対象者のプライバシーは厳重に守られます。
 薬事承認された治療薬が使用可能となる4つの遺伝子解析の結果およびそれ以外の42遺伝子解析の結果は担当医へ報告されます。薬事承認された治療薬が使用可能となる4つの遺伝子解析の結果については研究対象者に既に説明しておりますが、それ以外の42遺伝子解析の情報については研究を目的としており、あなたの健康状態等を評価するための情報としての精度や確実性が十分ではないため、開示に応じるとあなたのご家族に精神的負担を与えたり、誤解を招く恐れがあります。そのため、遺伝情報の開示には応じられません。

個人情報の取扱いについて

 プライバシーは厳重に守られます。お名前などの個人情報が削除され、代わりに新しく登録番号がつけられ、その番号で管理および保存されます。これを匿名化といいます。研究対象者の名前や個人を識別する情報は病院の外に漏らされることはなく、一切公開されません。研究対象者の診療情報は、匿名化されたかたちで本臨床研究に参加する研究者にも公開され、研究目的で使用されますが、研究対象者を特定することはできません。保管期間は研究終了後10年間で、これらのデータを破棄する場合も、症例登録番号のまま破棄されます。
 研究事務局では、これらの情報が外部に漏れないように、また、この研究の目的以外に使われないように、最大の努力をします。この研究にご参加頂ける場合は、これらの個人情報の取り扱いについてご了承下さい。
 研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学病院呼吸器科のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野・准教授・松元幸一郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 今後、この研究が適切に行われているかどうかを第三者の立場で確認するために、担当者が、研究対象者のカルテやその他の診療記録などを拝見することがあります。このような場合でも、担当者には守秘義務があり、研究対象者の個人情報は守られます。また、研究で得られたデータを、この研究の目的以外で使用することはありません。
 もし、研究対象者から得られた臨床情報の破棄を希望される場合は、担当医までご連絡下さい。ご希望に添って、全ての臨床情報および検体を完全に破棄します。

*本研究で利用される臨床情報は下記の通りです。
年齢、性別、身長、体重、喫煙歴、既往歴、合併症、服薬歴、臨床病期、腫瘍組織の組織型、臨床経過、血液検査結果、オンコマインDx TargetマルチCDxシステムの結果、オンコマインDx TargetマルチCDxシステムに提出した腫瘍検体の採取方法・採取量・採取日

試料や情報の保管等について

〔試料について〕
 本研究において使用する試料はございません。

〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者の情報はこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野において同分野・准教授・松元幸一郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
〔残った検体の保存と、将来の研究への利用について〕
 今回、研究対象者から提供して頂いたデータ(遺伝子情報および臨床情報で、個人情報を含む)は非常に貴重なものです。今後、新しい治療法や診断方法を確立していくうえで、非常に重要なものになります。そこで、皆様のご理解を頂けるなら、今回の研究で利用したデータについては、研究終了後から10年間は保存し、将来の様々な医学研究に役立てていきたいと考えていますので、ぜひご協力をお願いします。もちろん、その際にも、この研究と同様に研究へ参加して頂いた皆様のプライバシーと利益は厳重に守られます。なお、今後の新たな研究へ使用する際や、研究終了後10年を超えて保管する場合には、研究代表者、事務局またはそれらから任命された責任ある立場の研究者が、改めて研究計画書を作成し、その都度、当院の研究倫理審査委員会で研究の妥当性やプライバシーの保護の方法について審査を受ける必要があります。保管している検体やデータを勝手に研究に利用することはできませんので、ご安心ください。将来の研究へ保存されたデータを利用することに関して同意して頂ける場合は、同意書の下段にも併せてご署名をお願いします。同意書への署名の有無に依らず、保存されたデータの利用を希望されない場合には事務局までご連絡願います。

利益相反について

 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 オンコマインDx TargetマルチCDxシステムはサーモフィッシャー社が開発したシステムですが、本研究の遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。

 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。

利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

研究に関する情報や個人情報の開示について

 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、どうぞお申し出ください。
 また、この研究の成果は、氏名などの個人情報が特定できないよう匿名化した上で、学会発表や学術雑誌等で公表されます。

研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所
 九州大学病院呼吸器科
 九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座

研究責任者
 九州大学病院呼吸器科 診療准教授 岡本勇

研究分担者
 九州大学病院 呼吸器科 助教 田中謙太郎
 九州大学病院 ARO次世代医療センター 特任講師 井上博之
 九州大学大学院医学研究院 呼吸器科/がんセンター 助教 岩間映二
 九州大学病院 呼吸器科 助教 米嶋康臣
 九州大学病院 呼吸器科 臨床助教 白石祥理
 九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座 助教 大田恵一
 九州大学大学院医学研究院 形態機能病理学 教授 小田義直

<相談窓口について>
 この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。

 事務局(相談窓口)
 担当者:九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座 助教 大田恵一
 連絡先:〔TEL〕092-642-5378
    :〔FAX〕092-642-5382
メールアドレス:oota-k@kokyu.med.kyushu-u.ac.jp

共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設
(施設名/研究責任者の職名・氏名)
 ○総括
 ①西日本がん研究機構(West Japan Oncology Group)/理事長・中川和彦
 ②和歌山県立医科大学 内科学第三講座/教授・山本信之
 ③がん・感染症センター都立駒込病院 呼吸器内科/医員・善家義貴

 ○解析
 ④近畿大学医学部附属病院 臨床研究センター/准教授・千葉康敬

 ○情報の収集
 西日本がん研究機構(WJOG)に所属する多施設(2018年1月時点36施設)
 (施設一覧掲載URL:http://www.wjog.jp/hospital-list.php)