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研究紹介

【喘息】難治性喘息に対する抗IL-5 Rα抗体ベンラリズマブの増悪抑制効果に関する検討

臨床研究について

 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院呼吸器科では、現在難治性喘息患者さんを対象として、抗IL-5 Rα抗体ベンラリズマブに関する「臨床研究」を行っています。

 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成33年3月31日までです。

研究の対象者について

 九州大学病院呼吸器科に難治性気管支喘息で受診されている患者さんで、【承認日(平成30年12月)】から平成33年3月31日までにベンラリズマブ治療を必要とする方20名を、他共同研究施設での患者さんを含めて、研究全体では50名を対象とさせていただく予定です。

研究内容

研究の目的や意義について
【研究の目的】
 難治性喘息に対する新たな治療法である抗IL-5 Ra抗体ベンラリズマブの喘息発作による悪化(予定外や救急外来受診、入院、ステロイド薬の内服追加)を抑制する効果があるかどうかを検討することを目的とします。
【研究の背景】
 気管支喘息という病気は好酸球という細胞が中心となって気道に慢性炎症を引き起こし、ウイルスや細菌感染などにより悪化し、発作を起こす慢性の気道炎症性疾患です。喘息の治療は主として吸入ステロイド薬を用いるのが一般的であり、吸入ステロイド薬の普及により発作予防ができるようになってきています。しかしながら、喘息の標準療法である吸入ステロイド薬および長時間効果が持続するベータ刺激薬という気管支拡張薬、あるいは難治性喘息に使用される経口ステロイド薬などを併用してもなお、頻回に悪化する難治性の喘息患者さんが存在します。難治性喘息は、喘息患者の5-10%程度と報告されており、新たな治療法の開発が望まれています。
【研究の意義】
 最近では、喘息治療においても、ある特定の物質に結合することにより、その作用を阻害する物質(抗体)による治療法(抗体療法)が注目を集めていますが、その最新治療のひとつである抗インターロイキン-5 IL-5 受容体 a 抗体(ベンラリズマブ)は難治性喘息患者さんに対する新たな治療法です。
 喘息に対する抗体療法としては抗IgE抗体であるオマリズマブがすでに存在しますが、その効果はIgEというアレルギーを介在する物質が高値の患者さまに限定されています。
 また、メポリズマブという、インターロイキン-5を阻害する抗体治療がすでに使用されており、喘息の病態に深く関与する白血球の一つである好酸球を強力に抑制する作用があります。今回使用するベンラリズマブはこのインターロイキン-5経路を阻害するのみでなく、抗体依存性細胞障害活性という好酸球そのものを障害する作用を有することにより、喘息の難治化に関与している好酸球に対する強力な除去作用があり、難治性喘息に対して有効であることが海外では証明されています。しかしながら、日本人における増悪抑制効果や経口ステロイド減量効果に関する報告は未だありません。
 そこで、ベンラリズマブ治療前後での喘息増悪頻度、臨床症状、他覚所見、検査所見、画像所見、治療内容を解析し、ベンラリズマブの増悪抑制効果およびステロイド減量効果を検討することが必要と考え、本研究を計画しました。

研究の方法について
 この研究への参加に同意いただきましたら、カルテより下記の情報を取得します。カルテから取得した情報を元に、ベンラリズマブによる増悪抑制効果およびステロイド減量効果を検討します。

〔取得する情報〕
 ・年齢、性別、身長、体重
 ・喘息日誌(発作時の吸入薬の使用頻度、ピークフロー、経口ステロイド使用量)、自覚症状、理学所見(聴診所見)
 ・増悪による予定外受診・救急外来受診・入院の頻度、および増悪時の治療内容
 ・併存症(副鼻腔炎・中耳炎など)の有無と治療内容
 ・血液検査結果(CBC, 白血球分画, AST, ALT, LDH, γGTP, BUN, Cre, Na, K, Cl, CRP, IgE, RAST
 ・肺機能検査、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)
 ・胸部レントゲン写真、副鼻腔・胸部CTスキャン
 ・ベンラリズマブの投与状況
 ・副作用の有無とその内容
上記に関し、治療前、治療4, 8, 24, 48週後の情報を取得する予定です。

また、共同研究同意施設で取得された情報を各施設にて匿名化し、郵送にて九州大学へ収集します。

個人情報の管理について

 あなたのカルテの情報をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。あなたと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、あなたが特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野・教授・中西 洋一の責任の下、厳重な管理を行います。

試料や情報の保管等について

 この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野において同分野教授・中西 洋一の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られたあなたの血液検査や測定結果、カルテの情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、あなたの同意がいただけるならば、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えております。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究に関する情報や個人情報の開示について

 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 この研究では、学会等への発表や論文の投稿により、研究成果の公表を行う予定です。
 また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所
 九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野
 九州大学病院呼吸器科

研究責任者
 九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野 教授 中西洋一
研究分担者
 九州大学大学院医学研究院呼吸器内科分野 准教授 松元幸一郎
 九州大学病院呼吸器科 講師 福山 聡
 九州大学病院光学医療診療部 医員 神尾敬子

共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設(施設名/研究責任者の職名・氏名)
 情報の収集
 ①公立学校共済組合九州中央病院 呼吸器内科/部長・古藤 洋
 ②独立行政法人国立病院機構福岡病院 呼吸器内科/統括診療部長・吉田 誠
 ③独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター 呼吸器内科/部長・高田昇平

相談窓口について

 この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。

事務局(相談窓口)
担当者:九州大学病院 呼吸器科 講師 福山 聡
連絡先:〔TEL〕092-642-5378(内線5378)
   :〔FAX〕092-642-5382
メールアドレス:s-fuku@kokyu.med.kyushu-u.ac.jp