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研究紹介

【喘息・COPD】慢性閉塞性肺疾患および気管支喘息の急性増悪とhuman metapneumovirus感染症との関連性の検討

臨床研究について

 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院呼吸器科では、現在慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息の患者さんを対象として、急性増悪とhuman metapneumovirus(ヒトメタニューモウイルス)感染症との関連性に関する「臨床研究」を行っています。

 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成34年3月31日までです。

研究の目的や意義について

 COPDや気管支喘息の急性増悪とは急激に呼吸器症状が悪化することをいい、その主な原因は、ウイルスによる気道感染です。human metapneumovirus(ヒトメタニューモウイルス)は2001年に同定された、気道感染症を引き起こすウイルスです。そしてこのウイルスはCOPDや気管支喘息の急性増悪の原因となることが最近報告されていますが、日本におけるCOPDや気管支喘息の急性増悪とhuman metapneumovirusの関連は、まだ詳しくわかっていません。またhuman metapneumovirusはCOPDの患者さんの気道では、より増えやすいことが報告されています。またhuman metapneumovirusは小児呼吸器感染症の5-10%を占め、小児管支喘息においても急性増悪の原因ウイルスとなることが知られています。
 そこで、今回呼吸器科では、human metapneumovirusがCOPDや成人・小児気管支喘息の急性増悪の際に、検出される時期や頻度、患者さんの症状との関連性を明らかにすることを目的として、本研究を計画しました。本研究を行うことで、human metapneumovirus 感染症に対する認知度や理解が高まり、この感染症に対して適切な対策を講じることが可能となります。またCOPD患者さんの気道で、human metapneumovirusがより増えやすくなる原因がわかる可能性があります。

研究内容

【研究の対象者について】
 福岡病院呼吸器内科、福岡東医療センター呼吸器内科、大牟田病院呼吸器内科のいずれかの病院に、ウイルス感染による急性増悪が原因で来院されたと思われる、20歳以上のCOPDや気管支喘息の患者さんを対象としています。また福岡病院小児科に、ウイルス感染による急性増悪が原因で来院されたと思われる、6歳以上16歳以下の気管支喘息患者さんを対象としています。COPD患者 240名、成人気管支喘息患者 240名、喘息とCOPDを合併された患者さん 60名、小児気管支喘息患者 150名の方を対象とさせていただく予定です。
 明らかな肺炎、間質性肺炎や急性心不全の方は、この臨床研究にご参加いただけません。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

【研究の方法について】
 この研究への参加に同意いただきましたら、カルテより以下の情報を取得します。また、鼻腔咽頭ぬぐい液を採取し、通常診療での採血10mlの残りのうち500ml(成人のみ)を研究用に使用させていただきます。採取した鼻腔咽頭ぬぐい液を用いて、real-time PCR法により原因ウイルスの特定をおこないます。ウイルスが特定された方は、増悪にて受診した日から2-4か月後に生食吸入による誘発喀痰(成人のみ)を採取し、再度ウイルスの検査をおこないます。また血清を用いて、ELISA法によりheat shock proteinを測定します。測定結果と取得した情報の関係性を分析し、COPDや気管支喘息の急性増悪とhuman metapneumovirusの関連性を明らかにします。

〔取得する情報〕
年齢・性別、受診日(発症日)、診断、喫煙歴、非増悪時の治療歴(吸入ステロイド、全身ステロイド投与、在宅酸素の有無など)、体温、喘鳴の有無、風邪様症状出現時期、入院加療の有無(退院までの日数、転帰、全身ステロイド投与日数)、10日以内に風邪をひいた同居家族との接触の有無、白血球数・好酸球数・CRP値・総IgE値、喀痰塗抹培養結果、肺機能検査・呼気NO(直近および増悪にて受診した日から2-4か月後と10-14か月後)、画像所見

 九州大学病院呼吸器科へ血清とカルテより取得した情報を郵送にて送付します。また福岡大学病院呼吸器内科へ鼻腔咽頭ぬぐい液と誘発喀痰を郵送にて送付し、解析ののちその結果を九州大学病院呼吸器科へ送付します。最終的には九州大学病院呼吸器科にて詳しい解析を行う予定です。

個人情報の取扱いについて

 研究対象者の試料やカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、福岡病院、福岡東医療センター、大牟田病院各施設のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。この研究によって取得した情報は、福岡病院、福岡東医療センター、大牟田病院の各施設長の責任の下、厳重な管理を行います。

 血清とカルテの情報は研究対象者が特定できる情報を匿名化し、九州大学病院呼吸器科に郵送されます。また鼻腔咽頭ぬぐい液と誘発喀痰は研究対象者が特定できる情報を完全に削除し、福岡大学病院呼吸器内科に郵送され、解析ののちその結果を九州大学病院呼吸器科に郵送されます。よって、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。この研究によって取得した情報は、九州大学病院呼吸器科 教授 中西 洋一の責任の下、厳重な管理を行います。

試料や情報の保管等について

〔試料について〕
 この研究において得られた研究対象者の血清は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学病院呼吸器科において、教授 中西 洋一の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。また咽頭ぬぐい液および誘発喀痰は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、福岡大学病院呼吸器内科において、教授 藤田 昌樹の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、福岡病院、福岡東医療センター、大牟田病院の各施設長、また九州大学病院呼吸器科 教授 中西洋一の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
 また、この研究で得られた研究参加者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、あなたの同意がいただけるならば、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えております。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究に関する情報や個人情報の開示について

 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所
 九州大学医学研究院臨床医学部門呼吸器内科学分野
 九州大学病院呼吸器科

研究責任者
 九州大学医学研究院臨床医学部門呼吸器内科学分野 教授 中西洋一

研究分担者
 九州大学医学研究院臨床医学部門呼吸器内科学分野 准教授 松元幸一郎
 九州大学病院呼吸器科 講師 福山 聡
 九州大学病院呼吸器科 医員 神尾敬子

共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設
(施設名/研究責任者の職名・氏名)
 ○試料・情報の収集
 ①独立行政法人国立病院機構福岡病院/院長・岩永知秋
 ②独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター呼吸器内科/部長・高田昇平
 ③独立行政法人国立病院機構大牟田病院/院長・川崎雅之

 ○PCRを用いた原因ウイルスの解析・特定
 ④福岡大学病院呼吸器内科/教授・藤田昌樹

相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。

事務局(相談窓口)
担当者:九州大学病院 呼吸器科 医員 神尾敬子
    九州大学医学研究院呼吸器内科学分野 准教授 松元幸一郎
連絡先:〔TEL〕092-642-5378
   :〔FAX〕092-642-5382
メールアドレス:神尾敬子 hanamura@kokyu.med.kyushu-u.ac.jp
        松元幸一郎 koichi@kokyu.med.kyushu-u.ac.jp