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研究紹介

【喘息】難治性喘息患者に対する気管支サーモプラスティの有効性予測因子に関する検討

臨床研究について

 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院呼吸器科では、現在難治性気管支喘息の患者さんを対象として、気管支サーモプラスティ治療に関する「臨床研究」を行っています。

 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成32年3月31日までです。

研究の対象者について

 九州大学病院呼吸器科に難治性気管支喘息で受診されている患者さんで、気管支サーモプラスティ治療を必要とする方、20名を対象とさせていただく予定です。

〔患者群〕
 適格基準:
 (1)重症気管支喘息と診断された患者さん
 (2)本研究計画について十分に理解し、本人による同意が可能な患者さん
 (3)同意取得時における年齢が満20歳以上の患者さん

 除外基準:
 (1)ペースメーカー、または植え込み型除細動器、その他の植え込み電気機器を使用している患者さん
 (2)リドカイン、アトロピン、ベンゾジアゼピン系抗不安薬等、気管支鏡手技に必要な薬剤が使用できない患者さん
 (3)以前に同一部位において気管支サーモプラスティを実施した患者さん(安全性が確立されていない)
 (4)呼吸器感染症に罹患している患者さん
 (5)過去14日間に喘息増悪または、経口ステロイド薬の用量変更(増量または減量)を行った患者さん
 (6)臨床的に憂慮すべき血液凝固障害が疑われる患者さん
 (7)他の気管支鏡手技と同様、気管支サーモプラスティ前に医師の指示による抗凝固薬、抗血小板薬、アスピリン、NSAIDs等の中止できない患者さん
 (8)その他研究者が研究対象者として適当でないと判断した患者さん

 中止基準:
 (1)BT治療が施行できなかった場合
 (2)同意の撤回があった場合

 研究の対象者となることを希望されない方は、下記連絡先までご連絡ください。

研究内容

研究の内容や意義について
【研究の目的】
 難治性喘息に対する新たな治療法である気管支サーモプラスティの有効性予測因子を検討することを目的としています。
【研究の背景】
 気管支喘息の治療は吸入ステロイド薬の普及によってコントロール良好となってきています。しかしながら、吸入ステロイドおよび長時間作動型b刺激薬との配合剤、あるいは経口ステロイド薬や抗体製剤を併用しても尚、コントロール不良な難治性・ステロイド抵抗性喘息患者が存在します。難治性喘息は、喘息患者の5-10%程度と報告され、新たな治療法の開発が望まれています。
【医学的・社会的意義】
 難治性喘息患者に対する気管支サーモプラスティ治療(Bronchial Thermoplasty; BT)は、気管支内視鏡下に専用のカテーテルにて気管支表面を熱焼灼することにより、気道平滑筋量を減少させ、気管支の収縮を抑制することによって、喘息の増悪を抑制する新たな治療法です。
 BT治療は、海外での治験のみでその有効性が確認され、本邦には20154月に保険収載・導入されました。海外の報告によれば、BTで治療1年後、79%の患者で喘息QOLが改善、32%の患者でステロイド全身投与を要する重症増悪の発現頻度が少ない、喘息による仕事・学校・その他日常生活の損失日数が66%少ない、呼吸器症状による救急外来(ER)受診頻度が84%少ない、という報告1)や、治療後5年間の平均で、重度増悪した患者割合がBT治療前12か月と比べ44%減少、救急外来(ER)受診した患者割合がBT治療前12か月と比べ78%減少した、と報告2)されています。我が国での臨床試験を経ず治療導入が認可されたため、日本人での有効性およびその有効性予測因子の報告は未だないのが現状です。  そこで、BT治療前後での喘息増悪頻度、臨床症状、他覚所見、検査所見、画像所見、治療内容を解析し、有効群と無効群とで比較検討し、BT治療の有効性予測因子を同定することが必要と考え、本研究を計画しています。

1)Castro M, et al, for the AIR2 Trial Study Group. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181:116-124.
2)Wechsler M, et al. for the AIR2 Trial Study Group. J Allergy Clin Immunol. 2013;132:1295-1302.


研究の方法について
 この研究への参加に同意いただきましたら、カルテより下記の情報を取得します。カルテから取得した情報を元に、気管支サーモプラスティ治療が有効であった群と無効であった群とに分けて、何が気管支サーモプラスティ治療の有効性を予測できる因子であるかを比較検討します。

 〔取得する情報〕
  ・年齢、性別、身長、体重
  ・喘息日誌(SABAの使用頻度、PEF)、自覚症状、理学所見(聴診所見、SpO2)
  ・予定外受診や救急外来受診・入院などの増悪頻度、治療内容
  ・血液検査結果(CBC, 白血球分画、AST、ALT、LDH、gGTP、BUN、Cre、Na, K, Cl,
   CRP, 総IgE, RAST)
  ・肺機能検査、呼気一酸化窒素濃度
  ・胸部レントゲン写真、副鼻腔および胸部CTスキャン

 〔使用する試料〕
   治療時に、気管支肺生検・気管支擦過・肺胞洗浄液(5ml)を行った場合には、その余剰分を用いて、組織染色にて気道平滑筋層の厚さと面積、および擦過洗浄液中の好酸球比率を検討する。

個人情報の取扱いについて

 あなたの血液や病理組織、測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。あなたと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、あなたが特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した個人情報は、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野・教授・中西洋一の責任の下、厳重な管理を行います。

試料や情報の保管等について

〔試料について〕
 この研究において得られたあなたの肺胞洗浄液や病理組織等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野において同分野教授・中西洋一の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

〔情報について〕
 この研究において得られたあなたのカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野において同分野教授・中西洋一の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

 また、この研究で得られたあなたの試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究に関する情報や個人情報の開示について

 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、ご本人からの開示の求めに応じて、保有する個人情報のうちその本人に関するものについて開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所
 九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野
 九州大学病院呼吸器科

研究責任者
 九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学分野 教授 中西洋一
研究分担者
 九州大学大学院医学研究院呼吸器内科分野 准教授 松元幸一郎
 九州大学病院呼吸器科 講師 福山 聡
 九州大学大学院医学研究院保健学部門医用量子線科学分野 教授 藪内英剛
 九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分子イメージング・診断学講座 助教 川波 哲

相談窓口について

 この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。

事務局
(相談窓口)担当者:九州大学病院 呼吸器科 講師 福山 聡
連絡先:〔TEL〕092-642-5378(内線5378)
   :〔FAX〕092-642-5382
メールアドレス:s-fuku@kokyu.med.kyushu-u.ac.jp