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肺分子免疫学研究室(びまん性・感染症)

研究活動

喫煙関連呼吸器難病に対する前向きコホート研究

当科をHUBとして、久留米大学、産業医科大学、福岡大学の福岡県下4大学とその関連施設、計29施設、つまりAll Fukuoka体制による「喫煙関連呼吸器難病に対する前向きコホート研究(福岡肺の生活習慣病研究)」は、登録症例数が1000例を超えた2016年4月で新規登録を締め切らせていただき、「1年毎の追跡調査」と「急性増悪時の調査」を行っております。現在、登録時のデータを用いた1本目の論文を投稿準備です。また、一般に間質性肺炎や肺損傷には遺伝的背景が存在し、日本人には起こりやすいのではないかと推測されています。当研究で収集した遺伝子を用いて、その検証を行いたいと考えており、予防医学教室との協力のもと興味深いデータが多数でてきております。将来的には間質性肺炎のみならずCOPDにつきましても、遺伝子異常や人種差についての研究を行っていきたいと考えています。
 本研究は、喫煙関連呼吸器難病の福岡県における実態調査を前向きに行う初めてのコホート研究であり、同時に病因や急性増悪の解明を目的としたバイオマーカーの探索や遺伝子探索も行う非常に価値の高い臨床研究です。他大学、他施設からも、多数の研究案をいただいており、福岡県下4大学の協力のもと、研究を推進していきたいと考えております。この研究を意義のあるものにするためには、毎年の追跡調査と、急性増悪時の調査がきわめて重要ですので、重ね重ね今後ともよろしくお願い申し上げます。
よろしければ当研究のウェブサイトも随時更新しておりますのでご覧いただけますと幸いです(http://www.hai-seikatsu.med.kyushu-u.ac.jp/)。

肺損傷・線維化、感染症

肺損傷・線維化における細気管支上皮細胞に着目した研究は、遺伝子オントロジー解析の結果、細気管支上皮細胞の過剰な損傷治癒と炎症反応が、肺損傷と線維化を増悪させている、という結果を得て、論文化することができました。今後は他の動物モデルを用いた実験を行い、多面的に評価したいと考えております。
肺胞上皮細胞のアポトーシスに着目した研究は以前より主要テーマとしておりますが、今回、内因性アポトーシスに関わるBaxを標的とした病態解析についての報告を行うことができました。引き続き研究を進めていきたいと考えております。
高脂血症薬であるprobucolは、近年、同薬のもつ抗酸化作用に注目した報告が相次ぎprobucolによるマウス高濃度酸素肺傷害の抑制実験の報告をやっと行うことができました。抗酸化作用は、間質性肺炎のみならずCOPDでも重要であり、今後に繋がる成果かと存じます。 近年の腫瘍免疫の研究はめざましいものがありますが、免疫チェックポイント阻害薬による薬剤肺傷害が起こる機序はわかっておりません。我々は以前マウスナフタレンマウス肺傷害モデルにEGFR-TKIを投与することで肺傷害が増悪することを証明しましたが、今回、そのモデルに免疫チェックポイント阻害薬を併用し肺傷害の上乗せ効果を検討して報告しました。肺傷害に対する有意な上乗せ効果は認められませんでしたがEGFR-TKIと免疫チェックポイント阻害薬による相乗効果を思わせる結果も出ており、更に研究を深めたいと考えております。

臨床研究

基礎研究だけでなく臨床研究にも力を入れております。当科で診断したサルコイドーシス症例67例を解析し、サルコイドーシスの肺野病変については、soluble IL-2 receptor値がKL-6値やACE値よりも有意なマーカーとなることを報告しました。またPD-1とPD-L1に関連した重要な臨床的知見について、2本報告しました。
今後も、Bench-to-Bedside, Bedside-to-Benchというループを作っていくこと、特に若い先生方がそのループを確立していくのを手助けしていきたいと考えております。

おわりに

「びまん性肺疾患は難しい」という声を耳にすることが多いこともあり、「初歩から学ぶびまん 性肺疾患セミナー」という研究会を立ち上げ、2017年2月に第1回、7月に第2回、2018年1月に第3回を開催し、おかげさまで約150名の先生にご参加いただき、評判も上々でとてもありがたく思っております。この研究会は3年間で計6回開催予定ですが、1回ご参加いただいても勉強になりますが通して参加いただくことでより実力がつき「びまん性肺疾患は難しいけど面白い」となることを目標としております。第4回は2018年6月30日土曜日に開催を予定しております。皆様お誘い合わせの上、是非お越しください。
当研究室では若い力を募集しております。お気軽にご連絡いただけますと幸いです(Email: n-hamada@kokyu.med.kyushu-u.ac.jp)。